はじめてこの本を見つけたのでは、大阪へ行ったときに、梅田の紀伊國屋書店でした。
「へえ、落合さんはこんな本を出してるんだ」
私はその本、「落合博満の超野球学ーバッテングの理屈」というものを手に取った。内容に引かれました。なぜなら、彼の野球理論と実際のその時点でプロ野球で活躍している人たちへの言及も多く、何よりもロジカルで読み物としても面白いように感じたからです。
かくいう私は、スポーツとはとんと縁はありません。50歳になってようやく1年前ぐらいから週3、4回、ジムのプールに通うようになったぐらいです。しかし、昔から野球が好きでした。だから、ちょっとした草野球ぐらいはしていましたが下手も下手。
でも、観戦をするものとしてプロ野球は大好き。関西育ちですから、ご多分にもれず、まずはトラキチの洗礼を受け、野村克也の理論にほれこみ、私自身も、ヤクルト、阪神、楽天とファンをしてきています。
ただ、野村さん以外で好きな選手というのが落合博満だったです。卓越した技術、ふてぶてしい態度。圧倒的な実績と力。そして、何よりもそれを支える論理的な頭脳。なにか、私が野村が大好きなのと同じ理由で、落合はすごく気になっている選手でした。
特にびっくりしたのが、ずいぶん昔に、フライディかフォーカスのような写真雑誌に載った1枚の写真でした。その写真は、プロ野球のオールスター戦のときなんでしょう。3人のプロ野球選手がゲージを見ている後ろ姿を移したものでした。まん中に、落合選手、そしての右隣に、ヤクルトの池山選手、左に、当時西武の清原選手でした。その体躯の違いに「えっ?」としたのです。というのは、落合選手の体すごい小さく、両隣の二人が大リーガー並みに大きかったのです。
しかし、残してきている実績数字は、だんとつで落合選手が秀でていたわけです。そんなところから、落合選手への興味ががぜん、出てきていました。また、「絶対にガッツポーズをしません。相手の投手に失礼だから」といいきることにも共感をしていました。
そんな落合さんの気になっている本ながら、ときどき、本屋で見かけると、買おうか、と思いながら、買わずにいたものを、1週間前、日吉の本屋さんでようやく買いました。
そして読んでみて、やはり、プロのすごさと、こだわり続け、その理屈への追求を知り、すごいなあ、と思いました。
特に、なるほどなあ、と思った箇所は、打者として軸足をどうするかというフォームに言及しているなかで、他にも通じるところがあります。
「…しかし、正しいフォームを身につけておかなければ、”ごまかし”方もわからないし、はじめから”ごまかし”では長続きしない」p65
う〜ん、それはそうだ。基本というのはやはり基本であり、基準であり、それができなければどこにも行かないのだ、と感じます。私は、今、分かりやすい話し方や、マインドマップやフォトリーディングなどを教えていますが、その内容は、基本を徹底的に教えるわけです。そして、基本は基本であり、それがあるからこそ、基本はずれや応用がありえるわけですね。そんなことは、何にでも通じるんだと思います。
また、時代がどんどんと早く動いていく中、なにごとにつけ、スピードが求められているからこそ、次のような言葉は考えるべきとも思いました。それは、本の最後で、若い選手への指導について問われて、以下のように答えている。
「練習でつかんだことを2〜3年かけて完成すればいい。間違っても、1週間後に結果を求めようとするな」と必ず言っておく。」p208
これは、仕事でも速断即決が求められる時代に、それだけでない、知力、体力ともに、基礎力をつけるための勉強や訓練をしておくことの大切さを思い起こさせてくれた。なんだか、1週間後に使えるスキルを追いかけて、ビジネス書や実用書のみを読んでいる私の胸にちくりとくました。
また、次々とステップをあげるのではなく、しっかりと学んでいくことをすすめ、
「大切なのは、一度覚えたことを何度やってもできる継続性である」と言っている。
う〜ん、と考えさせれる。
この本は、野球の理論書としてかなりマニアックなぐらいに、落合博満のこだわりの考え、理屈を知ることができます。その中から、自分のビジネスに学べることも多いと感じました。ただし、この中から学べるものは、1週間後に使えるものではなく、2、3年先に自分の仕事をするときの考えや習慣に影響をあたえるようなものだと実感しました。